各部の名称は下図のようになっています。(モデル:SCARLETT II)
「球皮」はみての通り中に空気が入っている部分です。
「ゴンドラ」は人が乗ったり、物を積み込みます。
「バーナー」を焚いて球皮内の空気を熱します。
「スクープ」で風を受けて、効率的に球皮内を熱することが出来ます。
「リップライン」を引くことで、球皮最頂部のパネルが開いて(つまり弁構造になっているのです)、熱気を逃がして浮力を減じ、上昇を止めたり、降下を行います。
日本の場合、法律的には必要ないです。しかし、日本で熱気球を楽しもうとする場合、日本気球連盟という団体に参加するのが実質的に不可欠であり、この連盟の発行する「熱気球操縦士技能証」というものがあります。
この技能証をとるためには、連盟の定める方法・時間・回数などに従って指導パイロットのもとでトレーニングフライトを行って経験をつみ、最後にチェックフライトおよび筆記試験に合格すれば発行されます。
また、「操縦する」のではなく単に「乗る」だけなら、なんの資格もいりません。資格のあるパイロットに乗せてもらいましょう。
なお、免許制度などは国によって異なり、自動車免許などと同じく、国家資格となっている国も多いようです。
よく聞かれるのですが、砂袋をつんで重さで浮力の調節をするのはガス気球です。
熱気球の場合は、バーナーを焚き、球皮内の空気を温めることで密度を減らして浮力を得ます。
昔のガス気球は水素を使っていたので爆発をしたのでしょうが、そもそも熱気球は空気を温めるだけなので爆発はしません。ちなみにガス気球も最近は安定元素であるヘリウムを使っていますので大丈夫です。
厳密に言うと、バーナーの燃料として LPG を使っていますので、これがリークした際にそれに引火するという可能性があります。もちろんパイロットはそのような事態にならないよう、離陸前・離陸後ともにガスボンベのチェックを怠りません。
これは大きさ・形・材質・新品か中古か・メーカー製か自作か、などにより様々ですので一概にいうことができません。
また、球皮・ゴンドラ・バーナー・ガスボンベ、などをそろえるわけですが、球皮以外は比較的もちますので最初に買えばかなりの年月使えます。(もちろん適切なメンテナンスは必要です)したがって、いちばん買い換えの頻度が高いのは球皮部分です。
参考までに、私の所属チームでは球皮は100万円〜120万円程度で購入していたと記憶しています。球皮買い換えの頻度はだいたい4年に1回くらいでしょうか
私の主観的意見ですが、ある程度上昇してしまうと、怖くないです。「中途半端な高さ」の時の方がかえって怖い感じがします。
私の場合は自称高所恐怖症だったのですが、熱気球に関しては数フライトで慣れてしまったように記憶しています。さすがに初フライトの時は少々怖かったですが。
燃焼のための LPG の入ったガスボンベ。高度計。昇降計。フライトエリアの地図。地上スタッフ・他気球との連絡用の無線機。種火が消えた時のためのチャッカマン。消化器。といったものです。湖の横断などをするときにはライフジャケットを積んだりもします。
この他、パイロットや乗員の趣味(^^; にあわせて、おやつ・カメラ・コンパスなどが持ち込まれることがありますが、このあたりになると各々の人の勝手になってきますので、ここに列挙しきれません。ちなみに、私がパイロットで乗るときには、コンタクトを落とした場合などに備えて、予備用の眼鏡をなるべく忘れないように心がけています。
本当です。日本国内だけでも北海道から九州まで、年間をつうじて大小さまざまな大会が行われています。
いろいろなタイプの競技があるのですが、すべての競技に基本的に共通なのは「目的の場所にいかに正確にたどり着くことができるか」ということです。
「目的の場所」や「離陸場所」の決め方によって、競技にバリエーションができるわけですね。
例えば、PDG(Pilot Declared Goal) という競技ではパイロット自身が「自分はこの地点にいく」というのを離陸前に宣言してから飛び、実際にその地点に近いところまでいくことが出来れば、高ポイントをとることができます。あるいは、JDG(Judge Declared Goal)という競技では、全ての気球が、競技本部発表の地点(Goal) をめざして飛ぶことになります。競技の種類は代表的なものだけでも10種程度あります。
通常の大会では、複数回の競技フライトをおこない、累計の獲得ポイント数が一番多いと優勝です。
これも、日本各地にフライトエリアが存在しています。
理想的には、もちろん「広く、平らなところ」がよいです。
私の所属チームのもっともよく利用するフライトエリアは、琵琶湖の東側にある大中フライトエリアです。その他、北海道上士幌町・佐賀市周辺・関東渡良瀬遊水池のエリアも利用します。
熱気球にとって都合のよい時間帯は、早朝ないしは日没前の大気の状態が安定している時です。日中はサーマル(熱気泡)という上昇気流が発生し、不安定になりますのでフライトには適しません。
気球の大きさ(球皮内体積)によります。
私の所属チームには現在3機の熱気球がありますが、それぞれ1人乗り(890 m3)、2人乗り(1700 m3)、4人乗り(2250 m3)です。
観光用フライトをする気球などでは、10人以上のれるものもあるそうですが、一般的には2〜4人乗りあたりの気球を持っているチームが多いように感じます。
まず、球皮は耐熱性に優れた丈夫な材質(6,6ナイロンの上にテフロンコーティングがしてあります)で出来ていますので、そう簡単にはやぶれません。
また、また万一破れたとしてもロードテープが縦横に通っていて、破れが広がらないような縫い方をしてありますし、少々の破れならば球皮内圧への影響が小さいので即座にフライトが出来なくなることもありません。もちろん何らかの事故により破れた場合には、次のフライトまでに修理しますけれど(^^; 。
ちなみに、実はバーナーの音はかなりうるさいので、鳥はあまり寄ってこないです。むしろ、着陸時に地面に立っているくいなどに引っかけて破ってしまうことに気をつけなければいけません。
基本的にバーナーを焚き続ければどこまでも上がれます。(燃料の量や球皮の耐熱温度は無視すれば、ですよ(^^; )
という答えではなんなんで、、、、一般的なフライトではだいたい 3000フィートくらいいったら高い方ではないでしょうか。
琵琶湖横断やアルプス横断といった、多少とも冒険がかったフライトではそれ以上いきますし、大会などでどうしても使いたい風がある場合にもやはりそれ以上あがることもありますけれど。
熱気球に舵・推進装置はありません。したがって能動的な操作が可能なのはバーナーを焚いて上昇するか、リップラインを引いたり何もせずに自然冷却することで球皮内温度を下げて下降するかのどちらか、つまり上下の動きのみです。
普通、高さによって風の吹いている方向は異なります。したがって、行きたい方向の風の吹いている高さに、熱気球をもっていき、そのままその高さを維持すればよいわけです。(ちなみに一定の高さを維持しながら飛ぶことをレベルフライトと呼びます)
とはいえ、いい方向の風ばかりでもないし、そもそも行きたい方向の風がない場合もあり、さらには風の吹く方向というのは知っての通り経時的に変化しますのでパイロットは常に臨機応変に対応する必要があります。「降りた場所がねらった場所」というコトバもあります(笑 (決して「ねらった場所に降りた」ではないところがミソ)
どの高さにどの向きの風があるのか、というのはフライト前にヘリウム風船をあげて様子を見たり、他の気球の動きをチェックしたり、雲や煙突の煙をみるなどして、判断することもあります。もちろん経験やカンも重要な要素です。